実験の結果、「ターゲット役」の参加者は、全体の約45%が自分の着ているTシャツの人物が誰であるか周りは気づいているだろうと予測した一方で、実際は全体の約6%しか気付いていませんでした。
これは恥ずかしいTシャツを着て、困惑するようなネガティブな感情状態でのみ、自分が周りの注目を集めていると考えるのではなく、誇らしさや嬉しいといったポジティブな感情状態でも生じる可能性を示唆していると言えるでしょう。
研究チームは、この自分の行動や存在に周りから過剰に注目が集まっていると考える傾向を「スポットライト効果」と呼んでいます。
スポットライト効果が生じる理由は、自分の視点からの考えや内的状態を起点として他者の考えや内的状態を推測するからだと考えられています。
他者と自分の感覚は同じはずがありません。
それゆえ、自分の視点を起点にした場合、修正を行って他者の考えや内的状態を推測しなければなりません。
しかしここで自分が感じているのと同じように他者も感じていると過大評価してしまい(自己中心性バイアス)、現実とかけ離れた予想をしてしまうのです。
スポットライト効果は、自分の視点からの考えや内的状態を起点する点において、自己中心性バイアス表面化したものだと言えるでしょう。
次に恥ずかしい思いをするような失敗をしても安心してください。
自分の思っているほど、周りの人は、その失敗を見ていませんし、気付いていない可能性が高いのです。
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参考文献
All Eyes on Us: The Spotlight Effect
https://www.psychologytoday.com/intl/blog/parenting-neuroscience-perspective/202206/all-eyes-us-the-spotlight-effect
元論文
The spotlight effect in social judgment: An egocentric bias in estimates of the salience of one’s own actions and appearance.
https://doi.org/10.1037/0022-3514.78.2.211