シャツに汚れがついている、髪が上手くまとまらなかったなど気になることがあると、憂鬱な気分になるものです。

気付くことができないような些細な部分でも、周りから嘲笑されたり、噂をされているのではないかと心配になる人もいるのではないでしょうか。

米コーネル大学のトーマス・ギロビッチ氏(Thomas Gilovich)ら研究チームは、自分の装いや振る舞いを実際よりも周囲の注目を集めていると考えてしまう傾向が存在することを報告しています。

この現象は、参加者に格好の悪いTシャツを着させ、他の参加者が待つ場所に姿を現してもらうという一風変わった実験を行うことで明らかになりました。

研究チームはこれがまるで自分にのみ光が当たっているように感じることから「スポットライト効果(Spotlight Effect)」と呼び、皮肉を込め「私たちは誰もが、自分自身を宇宙の中心のように錯覚している」と述べています。

研究の詳細は学術誌「Journal of personality and social psychology」にて2000年2月1日に発表されています。

目次

  • ダサいTシャツを着て人前に出るとどれくらいの人間が気付くのか
  • 自分は周りから過剰に注目されていると思い込む

ダサいTシャツを着て人前に出るとどれくらいの人間が気付くのか

ダサいTシャツを着て人前に出るとどれくらいの人間が気付くのか
ダサいTシャツを着て人前に出るとどれくらいの人間が気付くのか / Credit: Unsplash

最近恥ずかしい思いをした経験を思い出してください。

多くの人の前で失言してしまったり、気付かないうちに着ている服に食べ物のシミが着いていた、などさまざまなケースがあると思います。

こうした状況を思い返したとき、自分が周りからジロジロと注目されていたという感覚が浮かぶのではないでしょうか。

しかし、実際は周りの人は特にあなたに注目していない場合がほとんどです。このような相手の心理を自分の感覚によって誤って評価してしまうことを、「自己中心性バイアス」と呼びます。