また「観察者役」の参加者にはTシャツに「バリー・マニロウ」がプリントされていることに気付いていたかを回答してもらいました。

さて観察者役、コントロール群で、Tシャツの存在に気付いている人数の予測に違いはあったのでしょうか。

自分は周りから過剰に注目されていると思い込む

実験の結果、「コントロール群」の参加者はTシャツに人物がプリントされていることに気づいた人は全体の約27%、プリントされている人物が「バリー・マニロウ」であることに気づいた人は全体の約23%程度であろうと予測しました。

一方で、ダサいTシャツを着て恥ずかしい思いをした「ターゲット役」の参加者は、全体の約47%が自分の着ているTシャツの人物が「バリー・マニロウ」であることに気づいているだろうと予測しました。

しかし実際にTシャツにプリントされている人物が「バリー・マニロウ」であると気づいていた人は、全体の約23.5%でした。

つまり、「コントロール群」の参加者がある程度正確に気付いた人の数を予測できたのに対し、「ターゲット役」の参加者は約2倍以上も過剰に周りの人にダサいシャツを着ていることがバレていると考える傾向があったのです。

実験の結果の図,コントロール群の左のバーは、Tシャツに人物がプリントされていることに気付いた人の割合、右のバーはプリントされている人物が「バリー・マニロウ」であると気付いた割合を示している。
実験の結果の図,コントロール群の左のバーは、Tシャツに人物がプリントされていることに気付いた人の割合、右のバーはプリントされている人物が「バリー・マニロウ」であると気付いた割合を示している。 / Credit: Gilovich, Medvec, Savitsky, (2000)

しかしこの現象は、ダサいTシャツを着ていることによる恥ずかしさによるものなのでしょうか。

実験2では、実験1と同じ形式でTシャツにプリントされている人物をマーチン・ルーサー・キング・ジュニアやボブ・マーリー、ジェリー・セインフィールドの3人の有名人から、参加者が自由に選ぶことができるようにしました。

ここでは「ターゲット役」の参加者は、自分が選んだ、有名人がプリントされたTシャツを着ることを、誇らしく嬉しいと感じていたことが確認されています。