つまり、頭の中で色々と考えてしまうだけでなく、実際に身体にも「緊張」のサインが出てしまうため、余計に行動しづらくなるのです。
実験で明らかになった「助けやすい場面」と「助けにくい場面」
中国の研究チームは、社会不安の高い人(HSA: High Social Anxiety)と低い人(LSA: Low Social Anxiety)を比較し、「どのような状況で手助けできるのか」を調査しました。
実験では、参加者に「他者を助けることが期待されるタスク」を与え、その行動を分析しました。
その結果、社会不安が高い人は、「誰かの利益のために何かをしてあげる」場面では行動を起こしにくい一方で、「誰かの不利益を防ぐ」場面では社会不安が低い人と同じ程度に手助けを行うという傾向があることが分かりました。
例えば、落とした財布を拾ってあげるような「損失を防ぐ」行動は比較的行いやすいものの、困っていそうな人に「手伝いましょうか?」と声をかけるような「利益を生み出す」行動はためらってしまうのです。
この違いは、手助けをすることで「注目を浴びること」に対する不安の大きさが影響していると考えられます。
興味深いことに、別の研究では、社会不安が強い人ほど共感力が高いことも示されています。
つまり、手助けをしたい気持ちは十分にあるのに、行動に移すのが難しいのです。
あなたはどうでしょうか? 誰かを助けたいと思ったことはあるけれど、勇気が出ずに行動を控えた経験はありませんか?
このように、社会不安を持つ人は「助けたいのに動けない」状態になりやすいのです。
では、どうすれば社会不安を持つ人でも無理なく行動できるのでしょうか? 今回の研究結果にはそのヒントがあるようです。
「助けたいのに動けない」と感じたときのヒント
研究の結果を踏まえると、社会不安がある極度の人見知りでも、状況によっては行動しやすくなることが分かります。
特に、実験で示された「損失を防ぐための行動」には心理的なハードルが低いという点がポイントです。