もし、あなたが士業に依頼を考えていたときに、相談を無料で受ける事務所が数多ある中、少数派である有料相談のみ事務所に相談をするでしょうか。まずは無料で対応してくれる事務所に相談するのが自然ではないでしょうか。
いわゆる業界大手といわれるような事務所も相談料は無料の取り扱いの事務所が多いのが事実ですし、よほどのことがない限りは無料相談をうたうほうがスムーズに相談を増やせるでしょう。
「回答」で解決できるのは「有料」
無料相談であれば経験を積めるとはいえ、仕事が増えてくれば永久に無料相談を行うことには限界があります。しかしながら、いきなりすべての問い合わせに対し、有料相談に踏み切る勇気が出ないのも事実です。そこで、段階的に次の方法を採ることで移行がスムーズになります。
その方法とは、「相談の先に業務の提案ができるもの」に関しては無料相談を提案し、「相談の先に業務の提案ができないもの」には有料相談を提示するというものです。
ここで、具体例を挙げましょう。たとえば、実際にこれは私が過去に受けた相談ですが、「ある事情で書いてしまった念書の効果について教えてほしい」という相談がありました。これは事情を聞いたところ、念書の効果について回答するのみに留まることがわかったので相談料は有料としました。こういった相談は無料で答えてもなかなか報酬に結びつかないのです。
もうひとつ逆の例を挙げます。別の相談で「悪質商法に騙されて商品を買ってしまった。解約したい」というものは、状況を聞くと内容証明郵便の送達でクーリングオフができるため、「内容証明郵便の作成」という業務の提案ができます。そのため相談は無料で受けました。内容証明郵便を送ったほうがよいという私の提案を受けてくださったお客様からは結果として書類作成の依頼を受けることになり、報酬を得ることができました。
このように、相談の先に業務の提案ができるかどうかの違いで無料相談と有料相談を使い分けることがひとつの考え方です。