このように、無料相談も有料相談もどちらにも有利な点、そして弱点を抱えています。最終的には独立開業するあなたの決断、ということになりますが、私は自分自身の経験から年商1,000万円を突破するまでは、相談料は無料でいくのがよいと考えています。

なぜ、最初は無料相談にするべきなのかといえば、それは相談を受けることや実際の対面接客を通じて早く多様な経験を積むことが、実務能力や営業力の向上につながるからです。開業したばかりの新人にもっとも足りないのは「経験」です。多数の経験を積むことで実務にも営業にも自信がついてきますので、結果として成長は早くなるといえます。

私自身は、選択したというよりは自信のなさから無料相談でしか始められなかったということもありますが、無料でさまざまな相談を受けたことが結果としてよかったと感じています。市販されている法律Q&Aでは出てこない現場の法的な相談や、イレギュラーな許認可や行政手続きなど極端な言い方をすれば、ベテランの先生でも経験したことがないような業務まですることができました。

開業から1年も無料相談を続けていると、相談者のパターンもわかってきますし、また緊張することも減ります。なかには、まったく仕事につながらないような相談もありました。一切お金を払う気がないお客様や、ただただ愚痴を聞いてほしいお客様など、わかりやすい言い方をすれば「お金にならないお客様」も増えました。しかし、こうした経験を積むことによって、お金になる、ならない、という違いが少しずつわかるようになりました。

このようなことから、開業から年商1,000万円までは、よほどの自信か戦略がない限りは、無料相談を選択することが賢明でしょう。ところで、経験を積むという点以外にも無料相談を推奨する理由があります。

あなたはインターネットからの相談を有料にするか無料にするか悩んでいるということでしたが、インターネットからの問い合わせは無料で受けたほうがよいといえるでしょう。なぜなら、インターネットで営業をしている士業のほとんどが「無料相談」を実施しているからです。