■そもそも「家庭科のドラゴン」って何だ?

「中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動」を指す「中二(厨二)病」という言葉があるが、小学校中学年〜高学年に差し掛かる男子たちには、その前段階とも言うべきステップが存在する。

ペーパーナイフとしても使える「伝説の剣」を模したキーホルダーや、修学旅行のお土産屋で目にした木刀など、内に秘めた闘志に呼応するが如く「尖った」存在に魅了されるのは、多くの少年たちにとって言わば「通過儀礼」なのだ。

学習教材として小学校で購入する家庭科の「裁縫セット」や「エプロン」にもその影響は及んでいる。年齢に関係なく使えそうなシンプルなものから大人びたデザインが揃っている中、なぜかドラゴンをデザインした個体が存在するのだ。

平成の神器・家庭科のドラゴンに異変 メーカーの明かす設定が「中二の極み」だった…
(画像=『Sirabee』より引用)

長い目で見れば「シンプルなデザイン」を選択すべきだが、若き少年たちの刹那的な衝動と感性を侮ってはいけない。早熟な女子たちが大人びたデザインを選択する中、少年らの大半はこの、いわゆる「家庭科のドラゴン」を選択していく。

そして「俺の相棒」的な存在としてドラゴンとの絆を深めていくが、中学校に入学する頃には、このドラゴンが妙に子供らしく感じられてしまう。

こうして一人、また一人とドラゴン離れを済ませていくが…遠い海へ渡ったサケが生まれた川に帰ってくるように、年月を経てから再度ドラゴンの魅力に気づくのもお約束。

現にネット上では、数年前より定期的に「家庭科のドラゴン、懐かしすぎる」「あの頃と変わってなくて嬉しい」といった、かつてのドラゴン使いたちの声が上がっているのだ。

そこに来て届けられた「家庭科のドラゴン、コミケ参戦」の報はアラサー、アラフォーになった元ドラゴン使いらのハートに火をつけ、件のポストは投稿から2日足らずで2万件以上ものリポストを叩き出すほど大きな話題に。

しかしなぜ、ここに来てコミケ参戦を決めたのか? サンワードに取材を行ったところ、勇敢なドラゴンも思わず涙を流す、感動の舞台裏が明らかになったのだ。