たとえばカメラが1回シャッターを開いている間に光が進む距離はわずか数センチほどなので、理想的には「実質的に光速が1秒間に2メートル程度しか進まない」ように見せることができるわけです。
実験では、球と立方体の「ローレンツ収縮した模型」を用意しました。
たとえば球なら運動方向に薄い円盤のように潰したモデルを置き、これをわずかに傾けながら撮影します。
レーザーを照射して、戻ってくる光をピコ秒単位で何度も“切り取る”ことで、球が動いていると仮定した際にカメラに収まるはずの光を再現し、最後に映像として合成していきます。
すると理論で言われていたように、球はまるで回転しているかのように見え、立方体も正面がわずかに“ずれて”奥行きをのぞき込んだような姿で写りました。
言い換えれば「近光速で移動しているならば、本来もっと潰れて見えるはず」のオブジェクトが“ほぼ潰れておらず、むしろ傾いて見える”ことが映像として確かめられたのです。
実験結果の写真には、実際にフロントとバックの面が二重に映りこんだような面白い部分もあります。
これは、球面状に広がるレーザー光や被写体のわずかな傾きなどが影響しており、理想的な平行光ではないがゆえに起こるものです。
理論が示す回転のイメージと重ね合わせると「なるほど、この角度で面が重なって見えるのか」と合点がいくものになっています。
こうした細部も含め、ローレンツ収縮が写真には“直に現れない”というテレル効果の核心を、映像として視覚的にとらえられた点が大きな成果といえます。
本当はローレンツ収縮が見えない理由

今回の撮影によって得られた“回転して見える”というイメージは、ペンローズやテレルが半世紀以上前に理論として予言していた内容とよく合致します。
一方で、実験では理想的な「平行光線」や「一瞬のシャッター」にはならない現実的な制約もあり、立方体の面が二重になったり、球の一部が線状に切れて見えたりするなど、わずかな歪みが観察されました。