化石は古代の重要な記録ですが、全ての発見された化石が正しく判定されているわけではありません。

化石から得られる情報は、場合によっては非常に曖昧であり、それが実際はなんであったのか明確に判断出来ないケースもあるのです。

今から数十年前、南米コロンビアで約1億3000万年前の白亜紀に遡る植物の化石が発見されました。

ところが2023年に行われた、コロンビア国立大学(UNC)の再調査により、これは植物ではなく、白亜紀前期に生息していたカメの赤ちゃんの化石だったことが判明したのです。

何をどう間違えたら亀が植物になるのか? と思う人もいるかもしれませんが、専門家によればこの化石は確かに植物と間違えられても仕方ない見た目だったらしく、研究者らは植物とカメを融合させたポケモンにちなんでこの化石に「ナエトル(英名はTurtwig)」と愛称を付けています。

研究の詳細は、2023年10月25日付で科学雑誌『Palaeontologia Electronica』に掲載されています。

目次

  • 研究者「これは植物の化石じゃない」
  • 白亜紀にいた「カメの赤ちゃん」の化石だった!

研究者「これは植物の化石じゃない」

問題の化石を最初に発見したのは、コロンビアで神父をしていたグスタボ・フエルタス(Gustavo Huertas)氏です。

フエルタス神父は1950年代から70年代にかけて、コロンビアのボヤカ県にある「ビジャ・デ・レイバ(Villa de Levya)」という町の近くで化石の発掘と収集をしていました。

その中で、約1億3200万年前の前期白亜紀にあたる岩石から直径約5センチの小さな楕円形の化石を見つけたのです。

化石の表面には葉脈のような線が見られ、その模様が古代植物のスフェノフィラム(Sphenophyllum)属に似ていたことから、フエルタス神父は、この植物化石を「スフェノフィラム・コロンビアヌム(Sphenophyllum colombianum)」として新種記載しました。