例えば、混合物の中の比重の重い固形物は自然下の1Gでも沈降しますが、時間がかかりすぎます。

しかし遠心力を使えば、より強いGが発生するため、短い時間で液体と固形物を分離することが可能です。

チームは、トノサマバッタの飼育ケースを取り付けた特注の遠心分離機を作成し、3G・5G・8Gの過重力空間を作り出しました。

トノサマバッタを入れた遠心分離機
トノサマバッタを入れた遠心分離機 / Credit: Karen Stamm et al., Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences(2023)

では、通常の1Gと比べて、それぞれの過重力で飼育されたバッタにはどんな変化が起きたでしょうか?

その結果を次に見ていきます。

バッタは3Gで最強になった!

チームは成熟手前のトノサマバッタを集め、1G・3G・5G・8Gの4つのグループに分けて、それぞれの重力下で2週間飼育しました。

その直前にバッタたちは最後の脱皮をむかえ、2週間の飼育期間中に外骨格を硬くして、成熟に達します。

実験中は常に遠心分離機を回しており、3日に一度だけ、餌やりなどのために最大15分間のみ停止させました。

(対照群となる1Gのバッタは遠心分離機にいれず、通常の飼育下に置いている)

その結果、各グループに興味深い変化があらわれています。

まず2週間後のバッタの生存率は、対照群の1Gで76%だったのに対し、3Gでは81%とわずかに上昇していました。

ところがそれ以上の過重力だと生存率が急に低下し、5Gで51%、8Gでわずか7%となっています。

2週間後の生存率の比較(3Gで最も高かった)
2週間後の生存率の比較(3Gで最も高かった) / Credit: Karen Stamm et al., Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences(2023)

面白いことに、この生存率の傾向はバッタの「外骨格の厚み」や「脚の強度」の変化とも一致しているようでした。