では、RIZAPと同じ高価格帯のパーソナルトレーニングジムからの参入はどうかというと、候補となる大手企業が見当たらない。例えば、パーソナルトレーニングジム「24/7Workout」を運営する株式会社トゥエンティーフォーセブン(7074)はコロナ以降、競争激化から5期連続で赤字と投資余力はない。
異業種からの参入コンビニ・ドラッグストアなどの大手小売業が、自社ネットワークを活用してフィットネス市場に参入する可能性もある。しかし、chocoZAPのような店舗運営には、単なる出店戦略だけでなく、会員管理や継続率を高める仕組みが不可欠だ。加えて、フィットネス機器の維持管理やマシン選定、効果的なトレーニングプログラムの提供には専門知識が求められ、これらは小売業の既存事業とは大きく異なる。
例えば、chocoZAPの「ちょこっとサポート」では、RIZAPのノウハウを持つ約300人のアドバイザーが店舗を巡回し、マシンの使い方や継続しやすいプランを提案するほか、オンライン相談も可能だ。
また、RIZAPグループは『RIZAP』のCMで知られるようにマーケティングに強く、集客力にも優れている。大手小売業とはいえ、運営ノウハウがない中で短期間に同等の仕組みを構築し、chocoZAPと競争するのは容易ではない。
chocoZAPの強み「将来性」
本稿①で述べたchocoZAPの高い営業利益率は、損益分岐点の低さを意味する。それにより、これまで採算が合わず開拓されなかった地方にも出店が可能となり、地方展開が加速している。

2025年3月期第3四半期決算発表資料 P18より抜粋
当初、最低限の商圏人口を5,000人/km²と想定していたが、官民連携1号店の兵庫県養父市はわずか52人/km²。それでも経営が成り立つという事実は、chocoZAPのビジネスモデルが従来のフィットネスジムとは一線を画していることを示している。もちろん、このエリアに競合はいない。

2025年3月期第2四半期決算発表資料 P20より抜粋