また、健康や医療分野でも活用が期待されており、味覚障害のある患者のリハビリや、減塩食品の開発に役立つ可能性もあります。
さらに、宇宙で地球上の食事の味を再現することで、宇宙飛行士の食生活を向上させることもできるかもしれません。
ただ、もちろん現状の技術ではそれはまだまだ先の技術です。「e-Taste」にはいくつもの課題が残されています。
特に、被験者からも指摘された香りや食感といった要素の統合が重要であると研究チームは指摘しています。
人間の味覚は嗅覚や触覚とも密接に結びついています。たとえば、食べ物の風味は、舌で感じる味だけでなく、鼻腔を通じて感じる香りが大きく関係しています。
よくかき氷のシロップは全部同じ味と言われますが、実際はそれぞれ異なる香りがつけられているため、異なる味に感じるのです。そう考えると香りがいかに味に対して重要な情報なのかわかります。
さらに、食感も味覚体験に欠かせない要素です。ザクザクした食感やクリーミーな口当たりは、舌や口腔内の触覚が担っています。
こうした要素も再現できるようにならないと、食を仮想空間上で再現できたとは言えないでしょう。
研究チームは、芳香拡散装置や電気刺激、圧力フィードバック技術を活用して、仮想空間でも香りや噛みごたえや舌触りを感じられる技術を目指しているようですが、こうした感覚を完全に再現することはまだ難しいかもしれません。
デジタル味覚の未来
「e-Taste」は、仮想空間で味覚を再現するという新しい可能性を示しました。
視覚や聴覚だけでなく、味覚までもがデジタル空間で共有できる時代は、すぐそこまで来ているかもしれません。
この技術の発展により、食の楽しみ方が根本から変わる未来が訪れるかもしれません。
日本でも最近は味を再現する研究が進んでいます。「デジタル試食」という新たな体験が現実化する日も近いのではないでしょうか。