目に歯を移植して視力回復を試みる驚きの手術がカナダで初めて行われました。
これは「オステオ・オドント・ケラトプロスセシス(Osteo-Odonto-Keratoprosthesis、略称 OOKP)」と呼ばれる手術方法で、分かりにくいので一般的には「トゥース・イン・アイ手術」と呼ばれています。
すでにイギリスやオーストラリアなど10か国で成功を収めていますが、なぜ目に歯を移植することが視力回復につながるのでしょうか?
そしてその手術はどんなプロセスで行われるのでしょう?
目次
- なぜ「歯」を目に移植するのか?
- 歯を一度「頬の中に移植」して育てる⁈
なぜ「歯」を目に移植するのか?

視力を失う原因はさまざまですが、その中でも角膜が損傷し、外部からの光をうまく取り込めなくなる視覚障害は深刻な問題です。
これには例えば、自己免疫疾患や化学火傷によって角膜が損傷し、通常の角膜移植では治療できないケースがあります。
そんな患者に対して行われる奥の手が、歯を使った人工角膜移植「トゥース・イン・アイ手術」です。
この手術では、患者本人の歯を取り出し、その内部にプラスチック製の光学レンズを埋め込みます。
そして、この「歯に埋め込まれたレンズ」を目の中に移植することで、新しい視力を得るのです。
なぜ歯が使われるのかというと、歯には人体が作る中で最も硬い物質である「象牙質」が含まれており、これがプラスチック製のレンズと患者の目をつなぐ丈夫で理想的なカバーとなるからです。
また患者本人の歯を使うので、移植による拒絶反応が起こりにくい利点もあります。
この手法は1970年代から研究が進められており、10カ国で実際に患者の視力を回復させることに成功してきました。
では、トゥース・イン・アイ手術はどのような手順で行われるのでしょうか?
歯を一度「頬の中に移植」して育てる⁈
この手術は2回に分けて行われる大がかりなものです。