空力性能はサイドフローへ変更
さて、外観について見ていこう。今季は空力性能に関して考え方を変更して設計している。もちろんカラーリングも変更されていることは言うまでもないが、形状も変更した。
メインの考え方として、ダウンフォースが欲しいときは旋回中であることから、旋回中のダウンフォースを稼げる考え方だ。もちろんストレートでは低ドラッグであることは言うまでもない。
旋回中のダウンフォースを得るための設計は、センターフローからサイドフローへの変更だ。マシンの正面から入るエアがエンジンルーム内を通り、ボンネットからフロントウインドウ、ルーフを経由してリヤウイングに流すというのが、これまでのセンターフローだった。

これをボンネットから抜けたエアをルーフには流さず、Aピラー周辺からボディサイドへ流す構造とするサイドフローにしている。ドアパネルに沿って流れ、リヤフェンダー上部を通ってマシン後方へ流す空力ボディとした。
もともとボンネットから流れるエアは乱れたエアであり、リヤウイングに当たることはダウンフォースを制御する上で乱流は好ましくない。できればリヤウイングには触れない方がダンフォースは制御しやすいことがベースにある。
そのため、サイドフローとすることで、最後はリヤフェンダー上部を通り、ウイングからは離れた場所を通過するため、制御したダウンフォースに影響が少ないというわけだ。

そのためのパーツとしてボンネット形状を変更し、リヤのディフューザー両端にある小型のボックス形状が変更されている。角度を絞り込む形とし、ボックス内部にもセパレータを挿入し、乱流を綺麗に流す工夫が入っている。床下はフラットボトムで変更はない。従来と同じく整流効果を狙うバーチカルフィンを装備している。また、ノーズ部やフロントスポイラー、カナードなどの変更もない。もっともコースによって変更する可能性は高い部分でもある。

デジタル化されたコクピット
コクピットも大幅に変更されている。従来のダッシュボード部にあったメータ類は全てなくなり、ステアリングセンターにあるモニターに集約された。そのため、すっきりとしたコクピットに変身している。またステアリングにあるスイッチ、センターコンソール部にある操作スイッチも変更されているが、これはコスワースPIに変更されたことで、従来より制御できる部位が増えたことによる変更だ。

さて、マシンの変更はこうしてみると大幅な変更が行なわれたことがわかる。外観からはそれほど大きな変更に見えないものの、全くの新型マシンであることが解る。


一方で、レースフォーマットにも変更があるようだ。予選方式が変更され、Q1とQ2が行なわれ、Q2でポールが決まるという23年まで行われていたフォーマットだ。ただ上位8台がQ2進出だったが新フォーマットでは9位までが進出でき、18台によるポール争いになる。果たしてこの変更がどのような影響があるのか、開幕戦が待ち遠しい。

SUBARU BRZ GT300はこのあと公式テストを2回行ない、いよいよシーズン開幕を迎える。この日のシェイクダウンでは、すべてが新しい大幅変更マシンだけに、さまざま課題があった様子だった。それだけに公式テストの様子も気になる。autoproveでは公式テストの様子もお伝えしていく予定だ。
提供・AUTO PROVE
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