このほど、オーストラリアの著名な献血者、ジェームズ・ハリソン(James Harrison)さんが88歳で死去したことが報じられました。

ハリソンさんは生涯にわたって1173回の献血をし、推定240万人の赤ちゃんの命を救ったことで知られます。

彼の血液には「抗D抗体」という希少な抗体が含まれており、これが新生児を救うのに大いに役立ちました。

しかしハリソンさんはなぜこれほど多くの献血をし始めたのでしょうか?

目次

  • 毎年4万5000人の赤ちゃんを救っていた
  • 「黄金の腕を持つ男」、88歳で死去

毎年4万5000人の赤ちゃんを救っていた

ハリソンさんが献血を始めたのは、14歳のときに受けた大手術がきっかけでした。

彼はその手術の際に13リットルもの輸血を受け、生き延びることができました。

健康を取り戻した後、ハリソンさんは「輸血のおかげで命が救われたんだよ」と父親に聞かされ、その経験から「自分も誰かの命を救いたい」と誓い、18歳になるとすぐに献血を始めるようになったのです。

彼は18歳から81歳になるまで2週間に1回のペースで欠かさず献血を行い、その総回数は1173回に達していました。

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献血をする若きハリソンさん/ Credit: Australian Red Cross Lifeblood – Vale James Harrison OAM(2025)

さらに奇遇なことに、ハリソンさんの血液には極めて稀な「抗D抗体」が含まれていることが判明したのです。

抗D抗体は一体どんな役に立つのか?

通常、私たちの血液はA型・B型・AB型・O型に分類され、さらに「Rh(プラス・マイナス)」という要素で分かれています。

問題が生じるのは、Rhマイナスの母親がRhプラスの赤ちゃんを妊娠した場合です。

これを母親と胎児の血液型不適合といいます。

血液型不適合であると、不幸にも、母体の免疫システムが胎児の血液を異物とみなし、自身の抗体によって大切なわが子を攻撃してしまうのです。