1月6日の記者会見で、スターマー首相はマスク氏を名指しこそしませんでしたが、「嘘や誤解を広めている」政治家や活動家を非難するとともに自分の検察総長時代の実績を主張しました。
例えば、被害者が直ちに被害を訴え出なかった場合や、薬物やアルコールを使用していた場合、あるいは特定の服装や行動をしていた場合には、その証言は信頼性が低いと見なされることがあったため、捜査指針を改訂し、その後の起訴を容易にしたこと、その結果、退任時点では児童性的虐待の起訴が過去最多になったこと、アジア系のグルーミング・ギャングを初めて起訴したことなど。
当局への不信感を持つ人も
マスク氏がこのトピックを取り上げたきっかけは、昨年10月、スキャンダルが発覚した都市の一つ、英北部オールダムの市議会が政府による公開調査を求めた際に、ジェス・フィリップス保護担当相がこれを拒否したことが年明けに報道されたためです。
2022年に発表された独立調査は、警察と市議会が子どもたちをグルーミングや性的搾取から守ることができなかったと指摘しています。
BBCの取材に対し、地元住民は今も事件の全てが明らかになったわけではないと話し、「隠ぺい行為があったのでは」と当局への不信感をあらわにしています。
野党側は全国規模の調査の開始を呼び掛けました。政府は当初反対していましたが、世論の高まりを受けて、スキャンダルが発生した5つの都市での新たな調査を支援し、グルーミング・ギャングとその犠牲者、発生の背景などについて全国的な調査を行うと発表しました。
これに先立ち、クーパー内相は、先の独立調査による20の是正勧告の一つである、子どもに関わる仕事に就く人は自分が目撃した、もしくは子どもあるいは加害者から報告を受けた虐待行為について通報することを義務化し、そうしない場合は刑法違反とすることを犯罪・警察法案に組み込むと議会で発表しています。