今年1月に就任したばかりのトランプ米大統領ですが、トランプ氏の横で「お騒がせ」言動を繰り返しているのが、米実業家で富豪のイーロン・マスク氏です。
所有する投稿サイトX(旧ツイッター)で約2億人のフォロワーを持つ上に、トランプ政権では政府の無駄をなくするという要職に就きましたので、無視できない存在です。

トランプ大統領とマスク氏 ホワイトハウスXより
英政界とマスク氏
英国の政界がマスク氏に「噛み付かれた」のは、昨年夏でした。
各地で暴動が発生した折、マスク氏はXで「内戦は避けられない」と投稿しました。「内戦」とは、暴動を先鋭化し扇動するような言葉です。
スターマー英首相が暴徒による「イスラム社会への攻撃を容認しない」と述べると、真マスク氏は「全ての社会に対する攻撃を懸念するべきではないか」と反論。
さらに英保守系政党リフォームUKへの献金をほのめしたかと思うと、極右活動家の受刑者の処遇について意見を異にするナイジェル・ファラージ党首を交代させるよう呼び掛ける展開もありました。
今年に入ってマスク氏が再度噛み付いたのが、スターマー首相です。1月3日のXで「無残にも輪姦の対象にされ、しばしば悲惨な方法で殺害された何十万人もの英国の少女たちに正義を」と投稿。
スターマー首相は前職である検事総長在任中(2008~13年)に「英国の強姦に加担した」ので、「辞任し、英国史上最悪の大規模犯罪への加担で起訴されるべき」と続けました。
「グルーミング・ギャング」
マスク氏が言及していたのは2010年代に明るみに出た、イングランド各地での児童への性的虐待事件の数々で、グルーミング・ギャング・スキャンダルと呼ばれるものでした。この場合のグルーミングとは「性的目的で相手を手なずける懐柔行為」を指します。
グルーミングによって性的虐待やレイプ行為を実行し、有罪判決を受けた一連の事件は主にパキスタン系の男性グループによる若い白人少女たちへの犯罪でしたので、一定の人種による加害行為というイメージが付きました。