ただ今回の研究結果は、お茶を淹れるだけで重金属をある程度除去できる可能性を示したものの、深刻な水質汚染地域での完全な対策にはなりません。
あくまで市販のお茶を使って“少しでも水質を改善できる手軽な方法”という位置づけです。
それでも、世界中で毎日たくさん飲まれているお茶を活用できるというのは、公衆衛生にとって大きな意味を持ちます。
もしかすると、お茶が普及している地域では、重金属にさらされるリスクが幾分か下がっているのかもしれません。
今後は、茶葉の種類や抽出時間などによる最適条件を探りながら、より多くの重金属を除去できる応用策が検討されるでしょう。
また、使用済み茶葉の再利用――たとえば家庭での簡易フィルターや肥料としての活用――など、自然素材ならではの可能性も広がります。
お茶の“嗜好品”としてだけでなく、“ちょっとした浄化機能”にも目を向けることで、私たちの日常はより健康で安心なものになっていくかもしれません。
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元論文
Brewing Clean Water: The Metal-Remediating Benefits of Tea Preparation
https://doi.org/10.1021/acsfoodscitech.4c01030
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部