ここからは、その研究でどのように実験を行い、どんな結果が出たのかを詳しく見ていきましょう。
ノースウェスタン大学の研究チームは、まず鉛などの重金属を含む水を用意し、市販されているさまざまなお茶の葉(紅茶や緑茶、ウーロン茶など)やティーバッグの素材(セルロース、綿、ナイロン)を使って実験を行いました。
具体的には、重金属を含む水を加熱し、そこにティーバッグを一定時間浸してから、残った重金属の量を計測するという方法です。
その結果、条件によっては約15%ほど鉛の濃度が低下したケースもあり、特に長めに抽出するほど除去率が高まる傾向が見られました。
また、セルロース製のティーバッグのほうが綿やナイロン製に比べて、より効率的に重金属を吸着することがわかったそうです。
研究チームは、「市販のお茶を普段通りに淹れるだけで、わずかでも水中の有害物質を減らす可能性がある」と述べており、重金属除去における“身近な効果”に注目が集まっています。
茶葉が重金属を除去するメカニズム
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お茶の葉が重金属を取り除く大きな理由は、葉の表面構造と化学成分にあります。
実際研究では紅茶の製造過程で葉が“しわしわ”になったり、小さく砕かれたりすると、表面積がぐんと増加し、重金属イオンが“くっつきやすい場所”が多くなることが示されています。
さらに、茶葉に含まれるポリフェノールなどの成分は、金属イオンを抱え込む性質(キレート作用)を持っています。
こうした仕組みによって、茶葉の表面や成分に重金属が吸着され、水中の有害物質が減少するというわけです。
また、長く浸すほど茶葉と水がじっくり接触し、より多くのイオンが茶葉にとらえられます。
そのため、一晩かけてアイスティーを作るような方法だと、さらに除去率が上がる可能性があると考えられています。
こうした“自然のフィルター”としての働きは、普段何気なく使っているティーバッグでも機能するという点が、今回の研究で示唆された興味深いポイントです。