実は四足歩行を常とする多くの哺乳類にとって、顔を長くすることには大きなメリットがあります。
彼らは私たちのように手先を器用に使えないため、草木の中を探索したり、土を掘り起こしたりするのも基本的にすべて顔を使います。
すると顔が長い方が、生い茂る草木のより奥まで顔を突っ込んで木の実をゲットできたり、口先がスコップのような役割を果たして土を容易に掘り返したり、物を器用に操ることが可能になるのです。
また肉食動物であれば、顔を長くすることで口の中により大きな牙を備えることもできます。
つまり、哺乳類は口先の機能性を高めるために、できれば顔を長くしたいと考えているのです。
小さくても顔が長く、大きくても顔が短い例外がいる
しかし物事には常に例外があります。
哺乳類の中にはCREAの法則が当てはまらない動物たちがいるのです。
例えば、同じフクロネコ科のアンテキヌスとタスマニアデビルとでは、体の小さいアンテキヌスの方が顔が長く、体の大きなタスマニアデビルの方が顔が短くなっています。
それから同じハクジラ類のイルカとシャチでも、同様の反転が見られます。
その理由について研究主任のヴェラ・ヴァイスベッカー(Vera Weisbecker)氏は「彼らは同じグループでありながら食べる物に大きな変化が起きていることが原因だ」と説明しました。
具体的にいうと、アンテキヌスは虫の幼虫やクモのように柔らかい餌を食べるように進化しているため、噛む力をそれほど必要としません。
一方でタスマニアデビルは鳥やヘビ、時にはカンガルーサイズの獲物まで標的とし、その骨もすべて噛み砕いて食べるように進化しました。
そのため、強力な噛む力が必要であり、それに従って顔も短くなったのです。
