女性の涙には男の怒りを鎮める作用があったようです。
イスラエル・ワイツマン科学研究所(WIS)の23年の研究で、女性が流した涙の匂いを嗅ぐと、生理食塩水を嗅いだときに比べて、男性の攻撃性が40%以上も低下するという興味深い結果が報告されています。
実際、磁気共鳴機能画像法(fMRI)を使った脳スキャンでも、女性の涙を嗅いだときに攻撃性に関わる脳領域の活動が減ったという。
ただ、涙は無臭ですがそれでも涙に含まれる化学成分はヒトに影響を及ぼしているようです。
これは涙が単に目を守るためだけの存在ではない可能性を示しています。
研究の詳細は、2023年12月21日付で科学雑誌『PLOS Biology』に掲載されています。
目次
- 涙の匂いでヒトの攻撃性が下がる?
- 涙の匂いで活性化する嗅覚受容体を発見!
涙の匂いでヒトの攻撃性が下がる?

ヒトだけでなく、あらゆる陸上哺乳類は目に涙腺を持っています。
哺乳類が涙を流す理由についてはダーウィン以来、長い議論が続いており、生物学者らは「目をゴミや細菌から守るため」とか「自らの弱さや無力さを示して攻撃対象から外れるため」といった説を提示してきました。
例えば、マウスにおける涙の社会的相互作用についてはかなり詳しいことが分かっており、メスのマウスの涙液には攻撃性に関わる脳活動を抑える化学物質が見つかっており、それによってオスのマウス間の争いが減少するのです。
その一方で、ヒトにおける涙の社会的相互作用はよく分かっていませんでした。
そこで研究チームは、ヒトの男女でもマウスと同じような効果が見られるかどうかを検証しました。
女性の涙で男性の攻撃性が43%も低下!
チームは今回、実験内容に同意してくれた6名の一般女性(22〜25歳)に悲しい映画を観てもらい、その際に流れ落ちた涙を集めました。