これは卵管が炎症や癒着、狭窄(きょうさく)を起こすことで、受精卵の通りが悪くなり、子宮までうまく運搬されなくなることが主な原因です。
また卵管は非常に細い管であるため、胎児が正常に育つことはできません。
胎児がそのまま大きくなると卵管の破裂や、それに伴う出血を引き起こす可能性があるので、放置するのは母子ともに危険です。
そこで通常は、卵管妊娠が発覚すると薬剤で発育を止めるか、胚の摘出手術を行います。

しかし一方で、ごくごく稀に子宮の外の「腹腔(横隔膜の下〜骨盤の上の腹部内に広がるスペース)」に受精卵が着床するケースがあります。
腹腔での妊娠は本当にレアケースで、子宮外妊娠そのものが妊婦全体の2%未満で起こるのに対し、腹腔妊娠はさらにそのうちのわずか1%にしか起こりません。
これは卵管に破裂による穴が生じることで、そこから受精卵が腹腔内に流出するために起こるといわれています。
また腹腔は卵管と違ってスペースがあるため、胎児も発育を続けることができるのです。

それでも腹腔には、胎児を妊娠27〜41週の正産期まで育てられるほどのスペースや機能はありません。
だいたい妊娠中期(16〜27週)の間で周囲の臓器を圧迫し始め、母体に強い腹痛を引き起こします。
胎児の方も子宮内膜のクッションに包まれていないため、衝撃などの影響に弱く、発育に障害が出る可能性があります。
そこで今回の女性は、腹腔妊娠が発覚した23週目から入院して、注意深くモニタリングされ、妊娠29週目で開腹手術により胎児を取り出しました。