幻の惑星はなぜ消えたのか?
ヴァルカンの正体が明らかになったのは、20世紀に入りアルベルト・アインシュタインが「一般相対性理論」を発表したときだった。彼の理論によれば、重力は単なる力ではなく、時空の歪みそのものである。この理論を用いると、水星の軌道のずれは、太陽の強い重力が時空を歪めることによって生じるものだと完璧に説明できた。
つまり、ヴァルカンは実在しなかった。惑星の存在を仮定しなくても、水星の動きは一般相対性理論によって説明できるようになったのだ。こうして、ヴァルカンは天文学史から静かに姿を消すこととなった。
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(画像=Image by mike lacoste from Pixabay,『TOCANA』より 引用)