宇宙には、いまだ解明されていない謎が数多く存在する。そして今、太陽系の果てに存在するとされる仮説上の「第9惑星」の探索が、かつての19世紀に起きた天文学史上のミステリーと重なり合っている。それが、幻の惑星ヴァルカンの物語だ。

第9惑星の探索

 第9惑星の存在が示唆されたのは、冥王星のさらに外側を公転する「カイパーベルト天体」の異常な動きがきっかけだった。これらの天体は、まるで見えない重力によって影響を受けているかのように特定の方向へと集まる傾向があった。この現象を説明するために、科学者たちは太陽系外縁に巨大な惑星が潜んでいる可能性を考え始めたのだ。

 計算によると、第9惑星は地球の数倍の質量を持ち、太陽から遥か遠くを回っているとされる。しかし、これまでに強力な望遠鏡を用いても直接その姿を捉えることはできていない。それでも、計算上の予測が的中した過去の事例があることから、科学者たちはその存在を確信している。

 この謎の惑星の探索には、現代の最先端技術が駆使されているが、このような見えない惑星の存在を仮定し、それを探し求めた例は過去にもあった。それが「ヴァルカン」の発見と消滅の物語である。