そして同じ成分・同じ剤形・同じ用量の薬を厳密にマッチングした結果、インド製ジェネリックでは、アメリカ製ジェネリックに比べて重篤な副作用の報告数が約54%も多いことがわかったのです。
さらに興味深いのは、こうした差が特に「長く市場に出回っている(=成熟期)のジェネリック薬」で顕著に見られた点です。
販売開始から時間が経つほど薬の価格競争が激化し、コスト削減が優先されることで製造や品質管理に影響が及ぶ可能性が指摘されています。
研究チームはこれらの結果について、ジェネリック薬の「安全性や品質をめぐる常識」に改めて注意が必要だと結論づけています。
では、なぜこうした差が生まれるのでしょうか。
一つの要因として指摘されているのが「コスト競争」の激化です。
ジェネリック薬は、発売から時間が経つと価格がどんどん下がり、多くの企業がコストを削る努力をしなければ利益が確保しにくくなります。
結果として、品質管理の徹底や十分な検査体制にかけるリソースが限られ、製造環境に問題が起こりやすくなる可能性があります。
また、米国食品医薬品局(FDA)の工場検査方法にも違いがあります。
アメリカ国内の工場は抜き打ちでの検査が一般的なのに対し、海外工場では事前通知のうえ実施されることが多いため、検査準備の段階で問題点を隠せてしまうリスクが指摘されています。
それでは私たちはどうすればいいのでしょうか。
研究チームは、FDAをはじめとする規制当局が検査体制を厳格化し、海外でも抜き打ち検査を実施するなどの改善策を提言しています。
また、製薬会社や消費者への情報開示を進め、「どの国・どの工場で作られた薬なのか」を患者や医療機関が知ることができる仕組み作りが望まれます。
こうした透明性が高まれば、品質の高いジェネリックを選ぶことも可能になるでしょう。
もちろん、ジェネリック医薬品の利点が失われるわけではありません。