この技術が人間にも実用化できれば、放射線治療の副作用を大幅に軽減し、より多くのがん患者が安心して治療を受けられるようになるかもしれません。

チームは現在、免疫応答を抑えるためにDsupを改良することを目指しています。

もしヒト向けに適応できれば、放射線治療だけでなく、化学療法によるDNA損傷の軽減にも応用できる可能性があります。

さらに宇宙飛行士が放射線から身を守るための技術としても活用が期待されています。

クマムシが持つ驚異的な耐性を活用したこの研究は、がん治療だけでなく、医療や宇宙開発においても新たな可能性を切り開いていくかもしれません。

こちらは本研究の内容をまとめた動画です。

全ての画像を見る

参考文献

A protein from tiny tardigrades may help cancer patients tolerate radiation therapy
https://news.mit.edu/2025/tiny-tardigrades-protein-may-help-cancer-patients-tolerate-radiation-therapy-0226

元論文

Radioprotection of healthy tissue via nanoparticle-delivered mRNA encoding for a damage-suppressor protein found in tardigrades
https://doi.org/10.1038/s41551-025-01360-5

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部