後半29分には、昨2024シーズン、ユース所属ながら鮮烈なJデビューを果たしたMF西原源樹を投入。同時に4バックに変更しギャップを突こうと試みるが、ゴール前での局面で精度を欠いた。秋葉監督にしては珍しく、後半36分の段階で交代カードを使い切ったものの、あと1点が遠かった。

秋葉監督が試合後のフラッシュインタビューで指摘していたように、“攻め急ぎ”が目立った広島戦。一方で、蓮川壮大、住吉ジェラニレショーン、高木践で構成するDFラインは堅牢で、磐田時代から苦手としていた広島FWジャーメイン良にも得点を許さなかった。

高木践 写真:Getty Images

好調の要因はDFにあり

今季の清水はMF乾貴士やFW北川航也、外国人選手のFWアフメド・アフメドフ、FWドウグラス・タンキ、MFマテウス・ブエノに注目が集まっているが、好調の要因はDFにある。

特に右サイドバックを定位置としながらも、フォーメーションの変更に合わせるようにセンターバックやウイングバックも器用にこなし、開幕戦の東京ヴェルディ戦(2月16日/国立競技場/1-0)ではアシストも記録したDF高木践のブレークが大きい。

秋葉監督も「有り難い存在」と認めるそのプレーぶりは、“偽サイドバック”としてインナーラップが持ち味だった前任者のMF原輝綺(名古屋グランパス)とは全く異なるが、自身のストロングポイントを遺憾なく発揮している。サポーターにとっても秋葉監督にとっても嬉しい誤算だ。

さらに、MF宇野禅斗とブエノのボランチコンビは“奪ったら前へ”が意思統一されており、乾ら攻撃陣への前付けも早く、速攻に結び付けている。ボールを奪ってもまずはバックパスしてビルドアップする形から脱却し、いわゆる“ボールを持たされている”状況が少なくなったことも大きい。

実際、この日の広島戦でもボール支配率は40%ほどだったが、それを感じさせないほどのがっぷり四つの攻防を見せていた。


ドウグラス・タンキ 写真:Getty Images

もしタンキが出ていれば…