私はジャーナリストを名乗っていないが、宗教問題や共産党員家庭の子弟問題で数多くの人を取材して、思い出したくないほどの経費を使った。無茶なことを、やったものである。いっぽうマイクパフォーマンスと説教なら、会見場に入ってしまえばただでできるのだ。
説教ジャーナリストと芸能レポーター説教ジャーナリストは報道の第一義である事実をありのままに伝えることに重きを置かず、独自の正義に基づく善悪の価値観で取材対象を裁いて糾弾している。こうした彼らの説教マイクパフォーマンスとそっくりなのが、往年の芸能レポーターが行っていた突撃取材だ。
芸能レポートとレポーターは、事実より喜怒哀楽を重視するワイドショーが生んだタスクでありキャラクターだ。そして芸能レポーターのタスクとキャラクターの雛形を完成させたのが、元祖芸能レポーターの梨元勝氏と言ってよいだろう。
1976年、NETテレビ(現テレビ朝日)が放送していたアフタヌーンショーに、講談社の女性誌『ヤングレディ』の契約記者だった梨元氏が出演して一世を風靡し、彼は立花隆氏の助言もあってレポーターとして独立した。
梨元氏が手法を開拓して他のレポーターたちが追随した突撃取材は、タレントを不意打ちしてテレビカメラとマイクを向けスキャンダルを問いただした。疑問点と、回答と、問題点を原稿に書いて社会に問うのが週刊誌のやり方だったのを、糾弾までのすべてを数秒から数分の映像に収めたのがワイドショーと芸能レポーターだったのである。
梨元氏は立ち去ろうとするタレントを「恐縮です。梨元です」と強引に呼び止めた。いきなり「謝罪しないんですか」「泣いている人がいるんですよ」「反省しろよ」などと声を張り上げるレポーターもいた。会見場だけでなく、不特定多数がいる場でもおかまいなしだった。
王道を行くジャーナリズムから眉を顰められていた芸能レポーターの手法が、望月衣塑子氏やフリージャーナリストに継承されたと思うと切なさが胸に込み上げてくる。とはいえ、芸能レポーターにも説教ジャーナリストにも、こうしなければならない共通する理由があったのだ。