ヒトの心と脳は体験を物語として認識しようとします。この物語を、私たちはキャリアと呼んでいます。そして、キャリアコンサルティングとはこの先の物語をご一緒に描くためのカウンセリングです。

今、日本では将来への不安を抱えている方々が8割〜9割であることを各種のリサーチが裏付けています。生きづらさの正体の一つは、この先の明るい物語が描けないことです。生きづらさは病気ではありません。ヒトの心と脳が備えた正常な反応なのです。ただ、現代社会は私たちの心と脳の想定を超えたペースで情報化が進んでしまい、多くの人がそこに対応できずに生きづらさを感じています。

欧米の先進国ではキャリア教育やキャリアカウンセリングが普及しているのですが、日本では就職活動、転職活動で困ったときの活用がほとんどのようです。困っているときは目先の困り事しか目に入らなくなります。ご一緒にこの先の物語を描くという、本当の意味でのキャリア支援が日本には欠けています。

そこで私たちはワークシート形式でキャリアコンサルティングを体験できる手頃な価格の本を作りました。この本を通して興味を持ってくれたら、ぜひプロのキャリアコンサルタントに相談してみてください。きっと、あなたの生きづらさを軽くしてくれることでしょう。

『キャリア心理学ライフデザイン・ワークブック』

【ゆるキャリ】第10回 生きづらさの時代とキャリアコンサルティング

杉山 崇(脳心理科学者・神奈川大学教授) 臨床心理士(公益法人認定)・公認心理師(国家資格)・1級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)。 1990年代後半、精神科におけるうつ病患者の急増に立ち会い、うつ病の本当の治療法と「ヒト」の真相の解明に取り組む。現在は大学で教育・研究に従事する傍ら心理マネジメント研究所を主催し「心理学でもっと幸せに」を目指した大人のための心理学アカデミーも展開している。 日本学術振興会特別研究員などを経て現職。企業や個人の心理コンサルティングや心理支援の開発も行い、NHKニュース、ホンマでっかテレビ、などTV出演も多数。厚労省などの公共事業にも協力し各種検討会の委員や座長も務めて国政にも協力している。 サッカー日本代表の「ドーハの悲劇」以来、日本サッカーの発展を応援し各種メディアで心理学的な解説も行っている。