2つ目は、対象となった犯罪が特殊だった点です。
研究においてブサメンであることの利点は、あくまで「デート商法」という、見た目が重要になりやすいシナリオに限った話となります。
そのため他の事件種類でも同じ効果が出るかは、さらなる研究が必要になるでしょう。
それでも、裁判官や陪審員が自分では気づかないうちに「見た目の印象」に左右される可能性は十分あると著者らは警鐘を鳴らします。
さらに本研究は、近年注目を集めている「ニューロロー(Neurolaw:法と脳科学の融合分野)」の観点からも意義深いとされています。
私たちの脳は、顔の印象を無意識に評価し、それを総合的な判断に組み込む性質をもっています。
オリベラ=ラ・ローザ教授も「裁判官や陪審員が感情を持つ以上、見た目による直感的な判断から完全に自由でいるのは難しい」と強調し、こうしたバイアスを減らす仕組みの導入が急務だと述べています。
全ての画像を見る
元論文
When being unattractive is an advantage: effects of face perception on intuitive culpability judgments
https://doi.org/10.1080/13218719.2023.2260847
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部