「美人は裁判でも有利」。

これは以前から何度も耳にする俗説です。

実際、過去の心理学研究では、人は「顔が整っている=性格も良さそう」と無意識に感じやすいという結果がいくつも報告されています。

被告の見た目が良いと、「そんな悪いことしないはず」「懲役を重くするほどでもない」といった印象を持ちやすいのでは、と言われてきました。

ところが今回、コロンビアのルイス・アミゴ大学を中心にした研究チームが、「魅力が低い(いわゆる“ブサメン”)被告に対して甘い判定を下す」という新たな“逆転現象”を報告しました。

容姿端麗が得をするのかと思いきや、外見があまり魅力的でない被告が同情され、有罪判定が低くなるという衝撃的な可能性が示されたのです。

研究内容の詳細は『Psychiatry, Psychology and Law』にて発表されました。

目次

  • 「ブサメンだから詐欺なんてできない?」という心理

「ブサメンだから詐欺なんてできない?」という心理

ブサメンすぎると裁判官が同情して罪が軽くなる可能性があると判明
ブサメンすぎると裁判官が同情して罪が軽くなる可能性があると判明 / Credit:Canva

本研究では、主に南米コロンビアの参加者を中心に、スペインやペルーからの参加者も含む128名(男女ほぼ同数)を対象に実験が行われました。

実験では「デート商法(ブラインドデート詐欺)」を想定したシナリオを提示し、「外見が犯行の大きなアドバンテージになり得る状況」をあえて作り出しました。

さらに、被験者には信頼度を平均的にそろえた9種類の男性顔写真(「魅力的」「普通」「不魅力」の3タイプ×各3枚)を見せ、それぞれを直感的に「有罪」「無罪」で判定させます。

無慈悲にも見た目だけで有罪と無罪が決まる状況です。

さらに半数の被験者には回答時間を8秒程度に厳しく制限し、残りの半数には制限を設けません。

このように「時間的余裕」が結果に影響するかどうかも検証されたのです。

その結果、外見が魅力的でない(魅力度が低い)人物ほど「犯行を成功させにくそう」「無罪かもしれない」という甘い判断を下される傾向が強く見られました。