FRBのパウエル議長が利下げを急がないと言っているので本来であればドル指数は高値を維持するはずですが、どうもセオリー通りに動いていないのです。例えば高値を付ける日本円ですが、なぜ日本円は買われるのか、という問いに答えは2つあり、一つは日銀の強気な利上げ姿勢が今しばらく続くであろうということ、もう1つは久々に聞いた安全通貨「円」であります。

安全通貨「円」というのは今から10数年前ぐらいまではスイスフランと並び世界で不和が起きれば安全な円やスイスフランを買うという動きがあったことに由来します。その後、米ドルが安全通貨の代表格にのし上がり、円やスイスフランは蚊帳の外となっていました。ところが最近のトランプ氏の動向、関税や一般外交からウクライナをめぐる姿勢まで非常に偏りのある判断とその動きにドルからの逃避を促しているようにも見えるのです。

私は年始にある会合で為替の話に触れ、ドル円は80円弱から160円強のレンジ相場であり、プラザ合意のような枠組みの変更がなければこのレンジからはみ出すには相当の理由が必要と述べました。この話はこのブログでも数か月前に触れたはずです。今のところ、この予想は当たり円は140円台まで戻しています。私のこのレンジ相場説が正しければレンジの真ん中である120円程度が最もコンフォートなゾーンであり、基本的にはそこに向かって修正されるであろうとみています。多分、2年ぐらいかかると思いますが、レンジ相場の基本はその中心を軸に動くものなのです。余談ですが、原油価格も仮にアメリカが増産しても需給のバランスがとれる70ドル台がレンジの中心であり、現代社会が原油に依存している限りこのレンジは変わらないのであります。

アメリカの消費ですが小売業売上高で見ると1月分は5か月ぶりに前月比マイナスになりその要因をロスの山火事だと分析しています。私は本質は違うとみています。カナダでは昨年の秋ぐらいから明らかに消費が伸び悩んでおり、それがインフレ率の下落につながっています。一方、アメリカの消費は強気と言われますが、自動車売り上げが低迷し、決算発表したウォルマートが大失望となりました。低所得者の拠り所とされるウォルマートは今や中流階級の人も好んでいくスーパーとなりましたが、それでも業績見通しが悪いとなれば我慢して消費してきたアメリカに陰りがでているとみてよいでしょう。