また、複数の人工原子が協調して、マイクロ波エネルギーを一度にまとめて放出したり、時間差で段階的に放出したりできる可能性があるという点も興味深いところです。
これは量子計測や高感度センサーへの応用にもつながり、微弱な信号しか得られない場面で、必要なときにだけエネルギーを取り出して測定するなど、革新的な手法が期待されます。
一方で、実用化に向けては、このような人工原子をより多数かつ長時間安定して動かす技術が必須となります。
外部ノイズをどこまで抑えられるかや、大規模化しても同じ制御精度が保てるかといった課題は残っています。
しかし、自然の原子ではできない自由な調整ができる分、今後の改良余地は大きいでしょう。
研究チームは、こうしたアプローチをさらに進化させ、量子情報技術の新たな突破口として活用することを目指しており、“人工原子を自在に操る時代”が、そう遠くない未来にやってくるかもしれません。
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元論文
Observation of Collapse and Revival in a Superconducting Atomic Frequency Comb
https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.134.063601?_gl=1*1vmts2r*_ga*NDc0MDg5NTkwLjE3MjAzOTI3NTM.*_ga_ZS5V2B2DR1*MTc0MDQ4MTA1Ni44NC4wLjE3NDA0ODEwNTYuMC4wLjExNjExNTcyNjc.
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部