その研究では、人体が耐えられる湿球温度の上限は、35℃より低く、湿度100%で30〜31℃だと報告されています。
特に暑さに弱い高齢者では、この数値がもっと低くなるでしょう。
人体が耐えられる「高温多湿の限界」はこれまでの想定より低いと判明
そして今回、イギリスのキングス・カレッジ・ロンドン(King’s College London)の研究チームは、そのような「危険な暑さ」の範囲が拡大すると報告しました。
今世紀中に「住めないほど暑い」地域が3倍に拡大する
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キングス・カレッジ・ロンドンの研究チームは、過去30年間の気象データと人間の体温調整能力に関するデータを統合し、「人間が耐えられる暑さの限界」を計算しました。
その結果、チームは、年齢や気温・湿度の組み合わせで左右される「2つのしきい値」を設定しました。
1つは「uncompensable threshold」と呼ばれており、人間の体温が制御不能になる状態です。
これは、湿球温度19~32℃に該当し、この範囲では、特に高齢者の体温調整機能が追いつかず、熱中症リスクが大幅に上昇します。
「人が住めないほどの暑さ」ですが、過去30年間で、高齢者の約21%がこの暑さの影響を受けた地域に住んでいたことも分かっています。
ちなみに、若年層でこのしきい値を超える地域は、全体の2.2%でした。
もう1つは、「unsurvivable threshold」と呼ばれ、人間の体温が6時間以内に42℃に上昇する状態です。
湿球温度は20~34℃であり、この範囲に達すると、命を落とす可能性が高くなります。
過去30年間で、このしきい値を超えたのは高齢者だけであり、しかも該当する場所は、全陸地の約1.8%だけでした。
しかし、温暖化はますます進んでいます。
地球の平均気温は、産業革命以前の水準より既に1.5℃以上、上昇しています。