謎を解明するため研究者たちは、人間と99種類の脊椎動物のDNAを比較し、人間のDNAのなかで「ジャンク」から「遺伝子」に生まれ変わった新生遺伝子があるかを調査することにしました。
結果、155個の小さな遺伝子がジャンクDNA領域から出現していたことが判明します。
研究者たちは、これらのジャンクDNA遺伝子領域から発生した新生遺伝子は、既存の遺伝子の改変とは異なる「ゼロ」から(自然発生的に)出現したように思われる、と述べています。
また発見された155個の遺伝子が生命進化のどの段階で出現したかを調べたところ、哺乳類の起源に遡る非常に古いものから、人間とチンパンジーが分岐した700万年前以降という比較的新しい時期のもの(2遺伝子を確認)までさまざまであることが判明しました。
(※つまり人間だけが持っているジャンクDNAから新生した遺伝子は700万年の間に2個出現していたことになります)
この結果は、ジャンクDNA領域からの新生遺伝子の自然発生は、太古の昔から現在に至るまで常に起きており、生命進化の隠された原動力になっていた可能性を示します。
脈々と古代より受け継がれた遺伝子と異なり、新しい遺伝子は不要な場合、発生してもすぐ消えてしまう可能性があります。
しかし数百万年前という比較的新しい時代に出現した遺伝子が現在の人類に広く定着しているということは、その新生遺伝子が体にとって不可欠になった可能性が高いと、研究者たちは述べています。
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しかしそうなると気になるのが、自然発生した遺伝子が現在の私たちの体で何をしているかです。
そこで研究者たちは、人間の培養細胞の遺伝子から、発見された155個の遺伝子を1つずつ切り取って、細胞の増殖速度に変化が起こるかどうかを確かめました。
もしジャンクDNAから出現した遺伝子たちが細胞の中で何らかの役割を持っていた場合、削除によって細胞の様子に違いがうまれるかもしれないからです。