ジャンクDNAが進化の震源地になっているようです。

ギリシャのアレクサンダーフレミング生物医学研究センター(BSRC Fleming)で行われた研究によって、人間のゲノム内にある本来は遺伝子を記録していないジャンクDNAと呼ばれる部分から、155個の新たな遺伝子が生成されていることが明らかとなりました

155個の遺伝子たちの起源は数億年という非常に古いものから、700万年前のチンパンジーと人間の分岐点あたりで出現した比較的新しいものまでさまざまでした。

これはそれまでなかった新しい遺伝子が太古の昔から現代に至るまで、ジャンクDNAの領域から自然発生していることを示しています。

研究者たちはこれら新しい遺伝子は通常の遺伝子出現とは異なる「ゼロ」から生じたものであり、生命進化の隠された原動力として、今も人類を変化させ続けていると述べています。

研究内容の詳細は2022年12月20日に『Cell Reports』にて公開されています。

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  • 人間には155個の「ゼロから作られた」遺伝子が含まれると判明!

人間には155個の「ゼロから作られた」遺伝子が含まれると判明!

人間には155個の「ゼロから作られた」遺伝子が含まれると判明!
人間には155個の「ゼロから作られた」遺伝子が含まれると判明! / Credit:Canva

新しい遺伝子は通常、DNAの複製過程のエラーから発生し、元々の遺伝子の機能が追加されたり失われたりすることで出現します。

そしてこのエラーが生命の生存に有利なものであれば、次世代に受け継がれ、それが積み重なることで進化が起こります。

一方、私たち人間のDNAに意味のある遺伝子が記録されている領域は全体の1.5%に過ぎず、残りの領域は長い間「ジャンクDNA」と呼ばれてきました。

そのため変異がどの領域にも均等に起こるならば、通常の遺伝子に変異が1回起こる間に、ジャンクDNAの領域では66回以上もの変異が発生する計算になります。

では、意味をなさないジャンクDNAに起きた変異が、生物にとって意味のある遺伝子に生まれ変わらせることもあり得るのでしょうか?