装置が完成すると、研究者たちはLEDをマウスの社会性をつかさどる脳の4カ所に刺し込み、光刺激を開始しました。
すると、非常に興味深い事実が判明します。
前頭前野において光刺激を同期させた場合とさせない場合で、マウスの社会的関係性に大きな違いがうまれたのです。
脳が同期していると「なかよし」になる

上の動画は、2匹の脳を同じ5Hzの光パルスで同期したとき(同期)の様子になります。
脳が同期状態にあるときには、2匹はほとんど「つかず離れず」の状態に陥りました。
そして互いの毛をグルーミング(毛づくろい)する友好的な振る舞いや、相手の匂いを頻繁に嗅ごうとする興味を感じているときの振る舞いが多く記録されます。

一方、上の動画では同じ2匹の脳を、片方を5Hz、もう片方を25Hzで刺激した時の様子になります。
脳が5Hzで同期していた時とは大きく異なり、2匹は互いに対する親愛さと興味を大きく失って、距離をとるようになりました。
また追加の実験により、研究者たちは他のランダムに選んだ2匹の社会的関係を、同期と非同期を用いてリアルタイムで親密にしたり疎遠にしたりと、遠隔操作できることを発見します。
この結果は、対象者たちの脳の同期が社会的関係性の形成において、重要な役割を果たしていることを示唆するとともに、社会的関係性のような高度な精神活動も外部入力を用いて操作できることを示します。
「友情」の制御

今回の研究により、社会的関係性が対象者の脳の同期によって築かれ得ることがわかりました。