これは参加者が「第3の親指」を使用するトレーニングをしたことで、脳の手に関する理解に変化が及んだことを意味しています。

しかし、事故などにより手を失った人であっても、このような変化が確認されたことはありません

手腕を切断したとしても、人の脳内の手の表現は安定したままです。

それが、たった5日間「第3の親指」を使用しただけで、このような変化が起きたということは、研究者たちから見て些細な問題とは考えられませんでした。

まだ、今回発見された脳の変化が、具体的に何を意味するかは理解されていません。

しかし、この結果は、まだ脳が完全にできあがっていない若年層や子供にとってさらに大きな影響を及ぼす可能性があります

「このデバイスは、斬新なおもちゃのように見えるかもしれませんが、その効果は子供の遊びではありません。人体拡張技術の脳への影響を検討することは非常に重要です」

研究著者の1人である、UCLのダニー・クロード氏はそのように語り、特に子供や青年にデバイスを与えた場合の、脳の可塑性(変形後戻らずに残る性質のこと)について、危惧しています。

この影響についてはさらに調査を進め、拡張技術が人の運動能力などに生物学的な悪影響を与えないように学んでいく必要があります。

動画を見ると参加者たちは無邪気に楽しんでいるように見えますが、人間の体を拡張する技術については、慎重にならなければいけないようです。

この研究について、つま先の動きで追加の指を動かすというのは、なんか違うと感じた人もいるかもしれません。

実は、同系の研究で日本の電気通信大学が行った更新されたバージョンもあります。そちらでは腕の筋肉の電気信号で追加の指を操るという方法を採用しているため、こちらはより新たな身体の部位を操作するというイメージに近いかもしれません。

独立制御可能な「第6の指」を身体化することに成功

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