実は、脳が高い集中を保てる時間は平均して25分ほどだと言われています。
これは脳の「注意リソース(attention resource)」が有限だからです。
「注意リソース」という概念は、心理学や神経科学の分野にある考え方で、脳が持つ注意の容量やエネルギーのことを指しています。
こうした考え方は、2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの研究にも示されていて、人間の注意力には限界があり、長時間集中し続けるとリソースが枯渇し、集中力が低下するとされています。
この問題を解決する方法として、「ポモドーロ・テクニック」というものがあります。
これはイタリアの起業家フランチェスコ・シリロが考案したもので、25分間の作業と5分間の休憩を繰り返すというシンプルな方法です。
これは作業を細かく区切って脳に報酬を与えるという方法に似ていますが、こちらは集中が保てる時間の平均に着目したもので、時間で区切って脳の回復を促すという点が異なります。
この方法の優れた点は、短時間の作業であれば「とりあえずやってみよう」と思いやすくなること。さらに、短い休憩を入れることで注意力の回復が早まり、結果的に長時間の作業を効率よく進めることができることです。
集中できる環境を作る:デジタルデトックスのすすめ
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最後に、集中力を奪う最大の敵である「誘惑」を減らすことが重要です。
特にスマホやSNSの通知は、集中を途切れさせる最大の要因となります。
17年報告されたハーバード大学の研究によると、スマホの通知を一度チェックするだけで、集中力が回復するまでに約20分かかると言われています。
これを防ぐためには、スマホを視界に入れない工夫が有効です。
例えば、作業中はスマホを別の部屋に置いたり、通知を完全にオフにしたりするだけで、手に取る頻度が格段に減ります。