具体的には、たとえば「私は視覚障がいを持っています」というAIの自己紹介をさせると、実際の視覚障がい者の発言とは微妙に異なるニュアンスが多く含まれる一方、外部の人が“障がい者とはこういう意見を持っていそうだ”と想像して書いた回答により近いフレーズや構成が頻出したのです。

こうした現象は女性や非バイナリー、特定の人種、さらには異なる世代などでも広く観察されました。

たとえば「黒人女性(Black woman)」になりきった会話をAIに頼むと

「Hey girl!」「Oh, honey」「I’m like, YAASSSSS」「That’s cray, hunty!」といったフレーズが頻出することが確認されました。

「Hey girl!」「Oh, honey」は直訳すると「やぁ、ガール!」「おー、ハニー!」となります。

友達同士の砕けた口調のようにも見えますが、特に英語圏で「Black woman=仲間や友人に対して陽気で親しみやすいノリで話しかける」というイメージを強調しやすいフレーズです。

「YAASSSSS」は「Yes!」を強調して伸ばした俗語で、アメリカのポップカルチャーやドラァグクイーン文化などで流行した表現です。

SNSや動画サイトで盛り上がるときに使う言葉として広まりました。

一方で「I’m like, YAASSSSS」という言い回しは、「黒人女性=派手なリアクションをする」「キャッチーなスラングを多用して、盛り上がるイメージがある」といった先入観を強化しやすい形です。

これも「みんながそう話すわけではない」点を考えると、過度にデフォルメされた口調といえます。

「That’s cray」は「That’s crazy」を略したスラングで、「めっちゃヤバい(ウケる/おかしい)!」というようなニュアンスです。

「hunty」は「honey」と「c**t」などの俗語を混ぜたルーツがあるとされ、主にLGBTQ+コミュニティやポップカルチャーで使われます。