小惑星への対抗策
- 宇宙船を衝突させる
NASAはすでに、小惑星への直接衝突によって軌道を変える実験を行っている。2022年の「DART(Double Asteroid Redirection Test)」ミッションでは、宇宙船を小惑星ディモルフォスに意図的に衝突させ、その軌道を変えることに成功した。この方法が実用化されれば、比較的小規模な小惑星の軌道修正に有効な手段となる。
- 重力トラクターやイオンビームの活用
直接的な衝突以外にも、小惑星の軌道を変える方法がある。
一つは「重力トラクター」と呼ばれる手法で、大型の宇宙船を小惑星の近くに飛ばし、宇宙船の引力を利用して徐々に小惑星の軌道を修正する方法だ。
また、宇宙船のスラスター(推進装置)を用いて小惑星へイオンビームを照射し、継続的に押し続けることで進行方向をずらすという案もある。
さらに、極端な方法として小惑星の片面を白く塗り、太陽光の反射率を変化させて軌道を変える案も検討されている。
- 核兵器の使用
映画『アルマゲドン』のように、小惑星に核兵器を埋め込んで爆破するのではなく、宇宙空間で核爆発を起こして放出されるX線によって小惑星の表面を蒸発させ、反動で軌道を変えるという理論もある。
ただし、核兵器の使用には倫理的・政治的な問題が伴い、さらに爆発によって飛び散った破片が新たな脅威となるリスクも指摘されている。
- レーザーによる蒸発
小惑星の片面に高出力レーザーを照射し、表面を蒸発させることで推進力を生じさせ、軌道を変える手法も提案されている。ただし、この方法はまだ実用化されておらず、現在のところ主要な対策にはなっていない。

(画像=イメージ画像 Created with DALL·E、『TOCANA』より 引用)