かくして、アルノー一族のグループ企業アガシュ・スポーツが52.4%、レッドブル・グループが10.6%の株を取得し、アルノー一族がパリFCの筆頭株主となった。これまで筆頭オーナーだったピエール・フェラッチ会長も引き続き30%程度の株を保有しそのまま会長職を継続しているが、2026/27シーズン限りでの引退を公言していることから、いずれはベルナール・アルノー氏の息子のアントワーヌ・アルノー氏が会長に就任することが確実視されている。

ベルナール・アルノー氏は大のサッカー好きとして知られ、過去にはセリエAのミランの買収に乗り出したこともあったようだ。パリFCの実務に携わるのは息子のアントワーヌ氏で、彼はPSGのサポーターであることを公言している。

スタッド・セバスティアン・シャルレティ(パリFC)写真:Getty Images

パリFCのホーム全試合無料開放

パリFCは市民により関心を持ってもらおうと、昨2023/24シーズンからホーム全試合を無料開放している。その甲斐あって、一昨シーズンの年間平均4,000人から今2024/25シーズンは倍以上の8,800人と、リーグ・ドゥの中でも5番目に多い観客を集めている。昨シーズン2部にいた古豪のサンテティエンヌとの一戦では、約2万人収容のスタンドが満員となったようだ。

パリ市の南地区にあるホームスタジアムのスタッド・シャルレッティは、過去になでしこジャパン(サッカー日本女子代表)がフランス女子代表とフレンドリーマッチを行ったことがある。PSGの女子チームも以前はここを本拠地にしていた。

地下鉄の駅近くにありアクセスはいいのだが、惜しむらくはフランスでも珍しい陸上トラック付きのスタジアムである点だ。レッドブル・グループの総合ディレクターに就任したユルゲン・クロップ氏が視察に訪れた際には、「こんなに離れたところからサッカーを見たのは、テレビ観戦した時以来だ」とジョークで皮肉ったという。