その後、PSGはパリ社交界や、フランスを代表する俳優のジャン=ポール・ベルモンドなどパリ出身の著名人の出資を受け急成長。クラブ分裂からおよそ10年後の1981/82シーズンにはクープ・ドゥ・フランス(フランス杯)で主要タイトル初獲得。1985/86シーズンにはリーグ・アンを初めて制した。

テレビ局の『Canal+』がPSGを買収し、元ブラジル代表MFライー、元フランス代表FWユーリ・ジョルカエフ、鹿島アントラーズでも活躍した元ブラジル代表MFレオナルド、元フランス代表FWニコラ・アネルカ、元ブラジル代表FWロナウジーニョといったビッグネームを次々と獲得。リーグ優勝8回に加え、1995/96シーズンにはUEFAカップウィナーズカップ(現在UEFAヨーロッパリーグに吸収)で優勝。

一躍欧州におけるビッグクラブの仲間入りを果たしたPSGは、2011年には、カタール投資庁の子会社「カタール・スポーツ・インベストメント」が買収し、世界トップクラスの資金力を誇っている。

一方、パリFCは1973年にリーグ・ドゥに降格。PSGに反比例するかのように凋落の一途を辿り、1983年にはクラブが再分割され、一時は5部にまで降格した。


RB大宮アルディージャ 写真:Getty Images

レッドブル・グループとアルノー一族

2010年代になって少しずつ盛り返し、2017/18シーズンにはリーグ・ドゥにまで復帰したパリFC。昨年、大きな味方が現れる。その1つが、当時J3の大宮アルディージャを買収し、「RB大宮アルディージャ」と改称させ、2025シーズンのJ2においてJ1昇格の有力候補の1つに押し上げたレッドブル・グループだ。

さらに、PSGの中東資本を凌ぐ大口スポンサーとして、大富豪のベルナール・アルノー氏を筆頭とするアルノー一族がついた。アルノー一族は、ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、モエ・エ・シャンドン、ヘネシーなど数々のラグジュアリーブランドを総括するLVMHグループのオーナーで、その総資産は日本円で34兆円を超えるといわれている。これは、テスラCEOのイーロン・マスク氏、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏、フェイスブック社(現Meta社)の創業者マーク・ザッカーバーグ氏をも超える天文学的数字だ。