煙に包まれた災害現場や、視界ゼロの暗闇の中で、もし「匂い」を頼りに行動できるドローンがあったらどうでしょうか。
信州大学の照月大悟氏ら研究チームは、生きた昆虫の触角を匂いセンサーとして活用した「バイオハイブリッドドローン」を開発し、匂い追跡性能で世界記録を樹立しました。
今回の研究では、昆虫の嗅覚システムを模倣し、従来のドローンでは難しかった匂いによるナビゲーションを実現しました。
探索距離を5mまで拡大し、災害救助や警備の分野での活用が期待されています。
この研究は、2025年2月5日付で『npj Robotics』に掲載されました。
目次
- 昆虫の嗅覚をドローンに融合!匂いで追跡できるバイオハイブリッドドローン
- 進化したバイオハイブリッドドローンは探索範囲が2倍以上に
昆虫の嗅覚をドローンに融合!匂いで追跡できるバイオハイブリッドドローン
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動物の嗅覚は驚異的な能力を持っています。
特に昆虫の中には、数キロ先のフェロモンを察知し、正確にパートナーを見つける能力を持つ種も存在します。
例えば、カイコガのオスは、風に乗って漂うメスのフェロモンを頼りに、長距離を飛行して交尾相手を探します。
一方、現在のドローンは主にカメラやレーザーを用いた視覚ベースのナビゲーション技術を採用しています。
しかし、煙や粉塵、暗闇、高湿度といった悪条件下では、これらのセンサーは機能しにくいという課題がありました。
そこで研究チームは、視覚に依存しない嗅覚ナビゲーションをドローンに搭載できないかと考えました。
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その答えが、昆虫の触角をそのままドローンに組み込むという発想です。