黒い三角形の正体は「異常に密集した森林」
ヴォストック島は、オーストラリアの東、約6000kmに位置し、わずか0.25平方キロメートルの面積しかないサンゴ礁の小島である。この島の内部はピソニア(Pisonia)という樹木に覆われており、それが異様な黒い影の原因だった。
ピソニアの木は非常に密集して成長する性質を持ち、日光をほとんど遮断する。そのため、低軌道から撮影されたGoogleマップの衛星画像では、島全体が漆黒に見えてしまったのだ。学術系メディアJSTOR Dailyによると、ピソニアの木は他の植物の生育を妨げるほど密生し、単一種が島全体を覆うことも珍しくないという。
この森林は海鳥にとっても魅力的な生息地となっている。1971年に行われた調査では、ヴォストック島にはカツオドリ、アジサシ、グンカンドリといった海鳥が多数生息していることが確認された。ピソニアの木は粘着性のある種子を持ち、それが鳥の羽に付着することで、他の島々へと拡散されていくのだ。
しかし、ピソニアの種子は時に鳥にとって致命的な罠となることもある。JSTOR Dailyによると、種子が大量に付着すると鳥が動けなくなり、地面に落ちてそのまま命を落とすことがあるという。その結果、ピソニアの森の地面には鳥の骨が散乱していることも珍しくない。
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(画像=ヴォストック島を覆うピソニア属の木々の原生林 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)