やよいひめはどのようにして生まれた?

群馬県産いちごとして最初に開発されたのは、アメリカの品種に「女峰」を掛け合わせた「とねほっぺ」。
大粒で綺麗な円錐形でしたが、糖度と果皮の弱さによってあまりヒットしませんでした。
とねほっぺの良いところを生かし、より高品質の高いいちごを作るべく、とねほっぺととちおとめを掛け合わせました。
この2つを交配しさらに選抜した株に再度とねほっぺを掛け合わせて精度を高め作られたのがやよいひめです。
2005年に品種登録されました。

やよいひめはいちご王者のとちおとめをさらに進化させて誕生したとも言えますね。

現在では、やよいひめは他県のいちご育種担当者からも高い評価を受けています。

佐賀県「いちごさん」埼玉県「あまりん」神奈川県「かなこまち」など、近年開発された新品種の親としてやよいひめが使われています。いちご業界ではやよいひめは既にブランド化しているといえるでしょう。

フルッティロッシのいちごとは

「食べチョクいちご博2024年度」において見事「甘みと酸味のバランス」部門の金賞に輝いたフルッティロッシ。

フルッティロッシは元々いちご農家ではなく、LPガス販売が本業という異業種からの参入です。

いちご栽培には重油が使われます。最近はガソリンスタンドの廃業、セルフ化によって燃料を配達する会社が減ってしまい困っているいちご農家が増えました。

フルッティロッシは、重油灯油よりも温室効果ガス排出を抑えられるLPガスというクリーンエネルギーをいちご作りに役立てることができたら・・・と思ったそうです。そしてかねてより農産物を自分たちの手で作りたいという思いもあり、自らいちご作りをやろうと決めたそうです。

フルッティロッシのめざすところは「人と地球に優しい農産物の生産」

フルッティロッシという名前の由来はイタリア語で**「赤い果実」という意味**です。

フルッティロッシの取り組み

これまでの農業の慣習、常識に囚われず、良いと思ったことをどんどん形にしていきました。

例えば、

  • 土は農業の基本。いちごの育成に最適な土をブレンドして作った。
  • IOT技術(※1)で、光合成を最大限に促進、自動環境制御により最適ないちご栽培を実現。
  • クリーンエネルギー(LPガス)使用で、重油灯油より15%温室効果ガス排出を削減。
  • 農薬だけに頼らず害虫を駆除する天敵農法(※2)の導入
  • 植物性酵素肥料で、健康で病害虫に強いいちご作り

など。

※1:IOT技術とは?

IoT(Internet of Things)技術とはモノをインターネットに接続して、生活や産業の効率化、利便性を高める技術を指す。IoT機器にはセンサーが搭載されており、感知したデータはインターネットを通じてクラウドやアプリケーションに蓄積され、このデータを活用することでさまざまな分野で効率化や問題解決が期待されている。

※2:天敵農法とは?

いちごにとって一番の敵は羽ダニ。一般的にはこの羽ダニを農薬で退治しているが、フルッティロッシでは羽ダニの天敵である別種のダニを入れて羽ダニを駆逐している。そのおかげで農薬の最小限に抑えることに成功した。

これらの斬新な取り組みによってフルッティロッシは令和5年群馬県の認定農業者「ぐんまエコファーマー」(※3)に認定されました。

※3「ぐんまエコファーマー」とは?

環境負荷に配慮して、土づくりと化学肥料・化学農薬の低減を一体的に行う生産活動や温室効果ガス排出量の削減を行う計画が群馬県より認められた業者に与えられる称号です。

摘みたてのいちごとスーパーなどで売っているいちごの違い

フルッティロッシが大切にしているのが「一番美味しいいちごを一番美味しい状態で食べてもらう」ということです。

当初、完熟したいちごを収穫して卸業者に納品しようとしたところ「これではだめだ」と言われたそうです。

スーパーなどで売られているいちごは流通事情により、納品して約3日後に店頭に並びます。ということは完熟しているいちごを納品しては店頭に並ぶ頃には熟度が過ぎているのです。かつ販売店はできるだけ長い期間売ることができる日持ちするいちごを求めるので、農家は熟す前のいちごを納品せざるをえないのです。

もちろんこの流通のしくみによって私たち消費者は安定した量をリーズナブルな価格で手に入れることができます。

ですからこのシステムはありがたいのですが、農産物の完熟度という観点から見ると上記のような現実があります。

フルッティロッシは「一番熟した時に収穫したいちごを食べてもらいたい」という思いがありますから、一般流通での販売をしていません。

基本的には直売です。昨年からECサイトでの販売を始めました。

朝収穫したいちごをその日に出荷するのですが、賞味期限は出荷から5日以内です。

見方によってはリスクと言えますが、一番美味しいいちごを一番美味しい状態で食べてもらいたいという思いが伝わってきます。

いちご摘み体験

フルッティロッシは2024年から道の駅「ららん藤岡」のそばにハウスを建て、直売といちご摘み体験を始めました。

こちらが2025年1月に実施されたいちご摘み体験ツアーの風景です。

いちごといえば、栃木?福岡?いえいえ群馬の「やよいひめ」もすごいんです。
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<ハウス内は清潔に保たれています>

いちごといえば、栃木?福岡?いえいえ群馬の「やよいひめ」もすごいんです。
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<高設栽培のため、立ったままいちごを摘むことができて体に優しい>

畑の中でしゃがんで摘むいちご狩りの風景とは雰囲気がずいぶん違います。

いちごといえば、栃木?福岡?いえいえ群馬の「やよいひめ」もすごいんです。
(画像=『たびこふれ』より 引用)

<フルッティロッシの特徴でもあるクリーンエネルギーによる地球に優しい農業>

ちなみに「いちご摘み体験」であり「いちご食べ放題」ではありません。

観光農園によくあるいちご食べ放題は楽しいものですが、食べ放題にするには当然それなりの品質(コスト)に抑えなければなりません。

フルッティロッシのいちごは高崎の高島屋内カフェや芸術劇場のカフェレストランで使われているブランドいちごですから、ひとつぶひとつぶが大切に育てられています。食べ放題のいちごとは別物です。

摘み取り体験では、食べ放題ではありませんが自分で摘んだいちごをお土産として持ち帰り(500g。約10~15粒位)できます。

また一番美味しい状態で収穫されたいちごの販売もしています。

いちごといえば、栃木?福岡?いえいえ群馬の「やよいひめ」もすごいんです。
(画像=『たびこふれ』より 引用)
いちごといえば、栃木?福岡?いえいえ群馬の「やよいひめ」もすごいんです。
(画像=『たびこふれ』より 引用)

直売所で売っているいちご1パック1,500円。スーパーで売られている一般的ないちごより高いと感じるかもしれませんが、前述のように別物です。

やよいひめの平均糖度は他のいちごより高い12度位ですが、フルッティロッシではなんと糖度16度といういちごもあります。

高崎の高島屋内カフェで使われていることからもわかるように、贈答品としても愛されるまるで宝石のようないちごなのです。