イタリア・ローマ近郊の町で「聖母マリア像が血の涙を流した」と主張し、多くの巡礼者を引き寄せた自称“神秘家”が、DNA鑑定の結果を受け、詐欺罪で裁判にかけられる可能性が浮上しているという――。
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DNA鑑定で明らかになった血の正体
この“奇跡”を主張してきたのは、ジゼッラ・カルディアという女性である。彼女は、聖母像が血の涙を流すだけでなく、自身に神のメッセージを伝えていると語り、多くの信者を集めてきた。しかし、ローマ・カトリック教会は昨年、カルディアの主張を否定し、彼女の活動を詐欺と断定。これを受け、教会は超自然現象に関する規則をより厳格なものへと改めた。
この事件に対し、ローマ近郊の港町チヴィタヴェッキアの検察当局は独自に捜査を開始。2023年、私立探偵が聖母像に付着していた血液を分析した結果、それがブタの血である可能性を示唆したことから、カルディアによる詐欺の疑いが強まった。さらに、彼女が病気の子どもたちのための施設を設立するとして寄付金を募っていたことが発覚し、一部の人々は金銭を騙し取られたと訴えている。
検察は、有名な法医学者エミリアーノ・ジャルディナにDNA鑑定を依頼した。ジャルディナは2010年に話題となった殺人事件のDNA分析を担当したことで知られる。イタリアの新聞『コリエーレ・デラ・セーラ』によれば、検査はすでに完了し、血液がカルディア本人のものであることが明らかになった。この結果は2月28日に検察へ正式に提出される見通しである。