酸化的リン酸化: 細胞のミトコンドリアが酸素を使ってエネルギー(ATP)を産生する主要な仕組みの一つ
動物実験などでも似た変化が報告されており、これらの変化が胎児期の脳発達に影響することでADHDリスクが高まるのではないかと考えられています。
研究者たちは、免疫反応やエネルギー供給を担う重要な遺伝子の乱れが、脳の成長段階における神経発達の障害につながる可能性があるとし、さらに詳しいメカニズム解明に期待を寄せています。
薬の選択が未来を変える:今、考えるべきこと

今回の研究では、妊娠中にアセトアミノフェンを服用していた母親から生まれた子どもがADHDを発症するリスクが高まる可能性が示唆されただけでなく、その背後にある生物学的な仕組みとして胎盤の免疫機能や代謝経路の乱れが浮かび上がりました。
研究チームが着目したのは、動物実験でも同様の変化が見られるという点です。
胎盤は母体と胎児をつなぐ重要な器官であり、もし妊娠中のアセトアミノフェン曝露によって胎盤にダメージが及べば、その先にいる胎児の脳発達に何らかの影響が生じる可能性があります。
一方で、アセトアミノフェンは比較的副作用が少なく安全性が高い薬として知られており、発熱や痛みに対処するために世界各地で広く使われています。
妊娠中に発熱や激しい痛みを放置すること自体もリスクを伴うため、「薬そのものが子どもの神経発達を損なっているのか、それとも熱や痛み、あるいは別の要因が関わっているのか」という議論は絶えません。
今回の研究結果は、決して「アセトアミノフェンを飲むと必ずADHDになる」という意味ではなく、服用の際にはリスクを踏まえた上で、必要最小限にとどめる心掛けが重要だと示唆しています。
また、本研究がアメリカ南部テネシー州の黒人女性に限られているため、他の人種や地域で同様の結果が得られるかどうかは慎重に検証する必要があります。