子どもの発熱や大人の頭痛・歯痛など、私たちの暮らしに欠かせないアセトアミノフェン。
しかしアメリカのワシントン大学(UW)で行われた研究によって「妊娠中にアセトアミノフェンを服用した場合、生まれてくる子のADHDリスクが高まるかもしれない」という気になる結果が報告されました。
実際、分析対象となった母子のデータからは、母親の血液中にアセトアミノフェンの痕跡があった場合、子どものADHD診断率が約3倍になる可能性が示唆されています。
「本当にそんな危険性があるの?」「痛みや熱を我慢してもいいの?」――常に愛用してきた薬だからこそ、多くの人が気になるこの話題。
新たな研究結果とその背景をひもとくと、使い方次第でリスクが変わるかもしれない、アセトアミノフェンの意外な一面が見えてきます。
研究内容の詳細は2025年2月6日に『Nature Mental Health』にて発表されました。
目次
- 安全神話の裏側:アセトアミノフェンの真実
- アセトアミノフェンと胎盤の謎
- 薬の選択が未来を変える:今、考えるべきこと
安全神話の裏側:アセトアミノフェンの真実
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子どもから大人まで、発熱や頭痛、歯痛などを和らげるために広く使われているアセトアミノフェン(パラセタモール)。
病院で処方されるだけでなく、市販薬としても入手しやすいため、日常生活の中で「手軽に使える鎮痛解熱薬」として定着しています。
また、他の痛み止めに比べて副作用が少なく、妊娠中でも比較的安全とみなされ、世界的に多くの妊婦さんが愛用しているのが現状です。
しかし近年、「妊娠中にアセトアミノフェンを服用すると、生まれてくる子の神経発達、特にADHD(注意欠如・多動症)リスクが上昇するかもしれない」という指摘がいくつもなされるようになりました。