このときにはテラシギラタは解毒剤としてだけでなく、赤痢、潰瘍、出血、淋病、発熱、腎臓病、眼病などあらゆる病気の治療に用いられました。

現代の科学的な観点から見ると、テラシギラタにはそのような治療効果はありませんが、当時は思い込みによるプラセボ効果によって確かに病気が治る患者もいたため、万能薬として持ち上げられたのです。

死刑囚のトゥンブラートはこの噂を耳にした訳ですが、では彼の賭けはどうなったのでしょう?

生きるか死ぬか、土食実験の結末は?

土食実験の当日。

劣悪な地下牢から引きずり出されたトゥンブラートには、事前の提案通り、「思いつく中で最も強烈な猛毒」が用意されました。

塩化第二水銀です。

これを摂取すると、体内の粘膜や胃壁が腐食して痛みでのたうち回り、組織障害や腎不全、虚脱が発生して、最終的には死に至る危険性があります。

トゥンブラートは意を決し、ジャムと混ぜた塩化第二水銀、約5.5グラムを口にしました。

彼は致死量の3倍もの水銀を飲み込んだのです。

その後すぐに彼は4グラムのテラシギラタを溶かしてワインを一気に飲み干しました。

果たして、結果は… ?

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テラシギラタとラテン語の記載された包装紙/ Credit: commons.wikimedia

予想通り、トゥンブラートは毒物による強烈な痛みに襲われ、もがき苦しみました。

彼は一晩の間、体の痛みにのたうち回りましたが、奇跡的に生きて翌日を迎えることに成功したのです。

これを目にしたヴォルフガング二世は「もう窃盗の罪は償った」と判断し、トゥンブラートを釈放して治療を受けさせました。

死刑囚は生きるか死ぬかの究極の賭けに勝ったのです。

その後、彼がどんな人生を送ったのかはわかっていませんが、ヴォルフガング二世の方は巡業医師のベルトールドから一生分のテラシギラタを買い取り、ベルトールドは富と名声を手に入れたといいます。

なぜトゥンブラートは生き残ることができたのか、本当にテラシギラタのおかげだったのか、それは不明です。